せっけんで手を洗おう

”せっけんで、手を洗おう♪”という歌がありました。

題名は「手を洗おう　ハイ！せっけん」です。

1972年に文部省と厚生省後援の手洗い運動推進本部で作られた歌のようです。

 

ついでに思い出しました。

レモンせっけん

小学校の手洗い場の蛇口に、赤いネットに入れてぶら下げられていました。

細長いレモンの形が手に取りやすくて、しょっちゅう水に濡れているのに、ふにゃふにゃにならない不思議なせっけんでした。

 

以前、消毒は特に子どもに与える影響が大きいことを書きました。

https://kyoto-homeopathy.com/bacteria-and-health/

手の汚れは水で洗うだけでずいぶんきれいになるのですが、細菌やウイルスを気にして除菌商品を使うのなら、せっけんでの手洗いがお勧めです。

せっけんの主成分は界面活性剤です。

界面活性剤の働きで、水では落ちない油汚れを取り去ってくれます。

界面活性剤は水と油を混じり合わせてくれるので、油汚れを水で流すことができて、おかげで洗濯物もきれいになるのです。

・・・ってそんなこと、皆さんご存知ですね。

 

それじゃ感染予防にならないじゃない、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

いえいえ、せっけんは優れた抗ウイルス作用を持っています。

驚くなかれ、自然素材のせっけんのウイルス破壊力は、合成洗剤の100～1000倍もあるのです。

合成洗剤とは

合成洗剤は第2次世界大戦の時代に、飛行機や戦車のエンジンの汚れを取るために開発されました。

まさか人の肌を、油で汚れた機械と同じものとして扱われている？？

とにかく合成洗剤で洗うということは、たいへん強力な脱脂剤を肌につけているのです。

代表的なものは、ラウリル硫酸ナトリウムです。

強い洗浄作用をもつことから、合成洗剤としてさまざまな商品がつくられました。

台所洗剤、洗濯洗剤、シャンプー、ハンドソープ、歯磨き、住まいあちこちの洗剤など、買い物に行って最初に目に付く商品はほとんど合成洗剤です。

洗剤以外では化粧品や内服薬にも使われています。

化粧品は、乳液やリキッドファンデーションなど、水分と油分を乳化させて使い心地をよくしたり、皮膚への浸透性を高めるために使われます。

薬の添付文書をご覧になったことがある方はご存知と思いますが、薬の添加物にもラウリル硫酸ナトリウムが使われています。

何のために添加されているのか製薬会社の営業担当の人に聞いてみたいところですが、おそらく気にもしていないでしょう。

せっけんのウイルス破壊力

せっけんでウイルスが死んでしまうメカニズムは次のとおりです。

ウイルスの表面は脂質二重膜という、いわゆる油でできています。

せっけんの界面活性剤が、ウイルスの表面の油とくっつくことによってウイルスを破壊します。

ウイルスを死滅させる作用をせっけんと合成洗剤で比較すると、合成洗剤はせっけんの3～8倍の濃度が必要となることがわかりました。

数値に幅があるのは合成洗剤の種類の違いによるものです。

せっけんのほうが、合成洗剤よりも抗ウイルス作用がはるかに強いのです。

 

合成洗剤よりせっけんのほうが、肌に優しいことはご存知のとおりです。

せっけんは人にも自然にも優しく、その反面、強力な抗ウイルス作用をもつすごいヤツだったのです。

ここに自然由来の隠れた力を見ることができます。

 

細菌の場合はどうでしょうか。

細菌などの微生物は細胞膜を持っています。

界面活性剤は、細胞膜を溶かして細菌を弱らせます。

弱った細菌は、手を洗う流水と共に流れて去っていくのです。

 

病気を予防するためには、除菌とか殺菌することよりも、物理的に汚れや細菌やウイルスを洗い落として清潔にすることのほうがずっと大切です。

消毒、殺菌は一瞬の幻想にすぎません。

 

せっけんで手を洗おう

せっけんは洗浄力に優れ、すすぎが早くいのが特徴です。

そして、肌にやさしい。

すすぎ残りがあっても、せっけんはアルカリ性で、弱酸性の皮脂と中和してしまうため、残った成分で肌をいためることが少なくすみます。

合成洗剤はヌルヌルした感じがなかなかとれず、残った成分は中和されることなく、いつまでも肌に作用し続けます。

手洗いは固形せっけんでもよいですし、ハンドソープタイプも使い勝手がよいものです。

ハンドソープを買いにいくと、そこに置いてあるほとんどは合成洗剤です。

コーナーの端のほうに、せっけんのハンドソープが置かれているでしょう。

お店によっては、せっけんのハンドソープをおいていないところもあります。

 

抗菌せっけんに注意

ここでひとつ注意が必要です。

抗菌、殺菌成分の入っていないものを選ぶことが大切です。

アメリカではすでに、殺菌成分を含むせっけんの販売が禁止されています。

抗菌せっけんは病気を予防する効果がないばかりか、薬の効かない耐性菌を作り出す危険性があることがわかったからです。

 

せっけんの見分け方

そのハンドソープがせっけんなのか、合成洗剤なのかわかりにくいことがあります。

せっけんの見分け方は簡単です。

商品の裏を見て、品名に「せっけん」の文字があればそれはせっけんです。

「純石けん分（脂肪酸カリウム/脂肪酸ナトリウム）」「カリせっけん素地」「せっけん素地」のように「せっけん」の文字をさがしてください。

 

せっけんであっても、洗いすぎには注意してくださいね。

流水で手を洗うだけでもウイルス量は100分の1に減ります。

つまり99％は水で洗うだけで落とせるということです。