睡眠とこころの深い関係
睡眠のサイクル
人の睡眠にはサイクルがあり、レム睡眠とノンレム睡眠という、異なるふたつの睡眠状態を交互にくりかえして朝の目覚めを迎えます。
レム睡眠は、眠っているときに眼球が素早く動くため、英語のRapid Eye Movement:REMから名づけられました。
レム睡眠では、全身の筋肉がゆるんで身体を休める一方で、脳の活動は活発になり、夢をみたりします。
一晩に4-5回くらいレム睡眠が訪れます。
ノンレム睡眠は、脳を休める睡眠です。
記憶を定着させるレム睡眠
レム睡眠中は、新しい脳の活動が抑制され、古い脳の活動が活発になります。
新しい脳とは、大脳皮質のことを指していて、理性をつかさどる働きをしています。
古い脳とは、脳幹部や大脳辺縁系などを指し、本能、内分泌系、呼吸や血圧など、生きるために欠かせない機能の中枢です。
また、反射や感情をつかさどり、記憶を確実にする働きもします。
レム睡眠のあいだに、学習や記憶と関係する扁桃体(へんとうたい)や海馬(かいば)といった大脳辺縁系が、日中の体験や情報を整理して記憶を定着させます。
スポーツでも勉強でも、成績を向上させる鍵はよい睡眠にあります。
いやな出来事があったときは、脳の中で情報を整理するときに、いやな感情をできるだけ取り除いてくれるので、後で思い出したときに、冷静に受け止めることができるようにしてくれています。
しっかり眠ると、嫌な記憶が残りにくくなって、ストレスに対処できるようになります。
頭がよくなる鍵も、精神面が強くなる鍵も睡眠が握っていたのです。
睡眠時間が少なくなったり、睡眠の質が悪くなると、嫌な記憶がより残りやすくなり、トラウマやフラッシュバックにつながりやすくなってしまいます。
悪夢と扁桃体の関係性
夢をみているときは、扁桃体が働いています。
扁桃体は、感情の中でも特にネガティブな感情と関連する特徴があります。
ストレス体験は扁桃体を活性化させるので、悪夢を見やすくなってしまいます。
レム睡眠中は感情をコントロールしたり、物事を判断したりする大脳皮質はお休みしていますから、現実にはおこらないようなハチャメチャな夢になるのもこういった理由からと考えられます。
不安や恐怖があると、怖い夢や不快な夢を見やすくなり、睡眠が妨げられて、さらに不安や不快さが増して眠れなくなってしまうという悪循環に陥ってしまいます。
こうしてみてみると、睡眠は身体を休めるだけでなくて、技能を高めたり、心の安定にも大きく関わっていることがわかります。
ストレスを癒やすために
今わたしたちは、世の中が混乱していてストレスの多い時勢に生きています。
この混乱の先にある明るい未来に到達するまでに、想像を超えるような事態を乗り越えないといけないかもしれません。
次回も、ストレスについて考えてみたいと思います。
お勧めはもちろんホメオパシーで心と身体の調和をはかり、ストレスに対処できる強い心身を得ることです。
ホメオパシーのセッションでは、睡眠や夢についてもおたずねします。
普段は、理性や社会的制約によって抑圧された自分でも気づかない感情が現れていることがあるからです。
実際にセッションを受けた方は、苦手としていたものを何とも思わなくなったり、時には、
「そんなこと言ってましたっけ・・・?」
と、不快に思っていたことすら忘れてしまっていたりします。
今までストレスになっていたものに揺さぶられることがなくなっていきます。
次回は、より身近な存在である漢方薬を考えていく予定です。