悩ましき五十肩
五十肩、よくご存じですよね。
40歳でも五十肩、60歳でも五十肩・・と言われる中高年に起こる肩の炎症です。
50歳前後で発症する人が多いため、五十肩という呼び方が一般化したようです。
40歳代の人には気を使って「四十肩」と呼ぶこともありますが同じ病気です。
正式には肩関節周囲炎と言います。
関節の周囲には筋肉や腱、じん帯、関節包(関節を包んでいる袋状の膜)などがあり、それらが炎症を起こしたのが関節周囲炎です。
腱は筋肉を骨にくっつける線維組織、じん帯は筋肉と筋肉をつなげる線維組織です。
五十肩は6か月から2年くらいで自然治癒することが多いのですが、3年経過しても3~4割の人は痛みが残ると言われています。
70歳、80歳で五十肩になることはないようですので、ただの老化現象ではない不思議な病気です。
女性に多い傾向があります。
肩の痛みのために、腕を動かすことができる範囲が狭くなるため、着替えやシャンプーといった日常生活動作も困難になってしまいます。
働き盛りの女性を困らせる、悩ましき五十肩です。
森井啓二先生のマテリアメディカを読むと、ルータに「関節周囲炎」と書かれています。
筋肉や関節のトラブルでよく使われるレメディに、ルストックスRhus-t.とルータRutaがあります。
ルストックスは関節のほかに皮膚や神経系など、多くの疾患に用いることができるポリクレストレメディですから、使ったことがある方も多いことでしょう。
一方ルータは、「小さな関節に使われる」と書かれていたりして、ややマイナーな印象があるかもしれませんが、「骨折」や「骨まで達する打撲」にも使われる、驚くような癒やしパワーをもつレメディです。
ルータ Ruta
原料はヘンルーダというミカン科のハーブです。
ルータは眼、腱、関節周囲などの線維組織や軟骨、骨膜に親和性を持っています。
比較的硬い組織に親和性があるようです。
硬くて、こわばるようなときに良さそうな感じがしますね。
《臨床応用》
捻挫・脱臼
腱の炎症や損傷
じん帯の損傷
骨膜炎
関節周囲炎
手首のガングリオン(こぶ)
腰痛
坐骨神経痛
など、整形外科関連のトラブルで幅広く使われます。
ルータは目の疲れにもよいレメディです。
細かい作業などで目を酷使する仕事で目が疲れたとき。
目の疲れから頭痛になるときにも良いですよ。
スマホやPCで疲れ目をかかえた現代人を助けてくれます。
症状は、温めることや乾燥した気候で良くなります。
寒さや湿気で悪化します。
Rutaは、ギリシア語のreuo(自由の身にする)という意味に由来すると言われています。
古くから人々を肉体的な苦痛から解放してきました。
今日では有毒成分のため薬用として使われることはありませんが、ホメオパシーのレメディとして私たちを癒やしてくれています。
五十肩でルータを飲んだ人は、
「腕を動かしたとき、銃で撃たれたかのような激痛で困っていた。今も痛みはあるけれど、そこまでではなくなった。」
と言っていました。
インドのサルカー博士は
「ルータは落ち着きのなさを除いたルストックスに似ている」
と言っています。
ルストックスは、面白い精神症状をもつ大レメディです。
次回まとめてみたいと思います。