じっとしていられないルストックス(Rhus-t.)
ルストックス(Rhus-t.)は、ねん挫をしたときの第一レメディとして知れられています。
ねん挫以外に、非常に多くの疾患に対して使用されるポリクレスト・レメディです。
ポリクレスト(polychrest)とは、多くの病気を治す薬を意味します。
リウマチなど、関節に炎症が起こったときによく使われます。
インフルエンザなど、風邪をひいたとき、熱があって関節が痛むときにも使います。
皮膚にも親和性があり、皮膚の痒みや、湿疹で困ったときにも助けてくれます。
風邪でもケガでも同じ薬を使えるのが、ホメオパシーらしいなと思います。
レメディを勉強する方法
ルストックス(Rhus-t.)は面白いレメディです。
レメディの勉強をするときは、原材料がどのようなものであるか知ることが大切です。
原材料が持っているエネルギーが、そのままレメディに反映されるからです。
どんなものでも物質は特有のエネルギーをもっていて、それと共鳴するエネルギーを持つものを癒やしてくれます。
動植物のみならず、鉱物でもです。
どのようなエネルギーを持っているかを知るために行うのが「プルービング」です。
プルービングは、健康な人がその物質を摂った結果、心身にどのような変化が起こるのかを詳細に調べるものです。
そこから、物質がどのようなエネルギーをもっているのかがわかるのです。
原材料からルストックスのエネルギーを考える
ルストックスの原料はツタウルシです。
漆(うるし)と聞くと、漆かぶれや、漆器を想像します。
そこからレメディ学習が始まります。
漆の樹液に触れると、皮膚が赤くなり、ものすごいかゆみが出て腫れてきます。
ただれたり、発疹や黄色い水が貯まった水疱ができることもあります。
漆にかぶれると、耐えられない痒みのため、じっとしていることができません。
「落ち着きなく常に動く」のがルストックスが持つエネルギーです。
《皮膚症状》
湿疹;とても痒い湿疹、小水疱を伴うことがある
皮膚の痒みは熱いお湯で楽になる
じんましん
水ぼうそう
帯状疱疹など、
これらの症状はすべて「漆かぶれ」に似ていますから、とても理解しやすいですね。
もちろん、漆にかぶれてしまったときにもルストックスですよ。
《神経系・問題行動》
落ち着きがない子ども
睡眠中に絶えずからだの向きを変え続けて眠れないとき
舞踏病やパーキンソン病など、
絶えず動きのある神経疾患にもルストックスが使われることがあります。
《関節炎》
ルストックスは関節炎にもよく使われます。
リウマチなどの関節の炎症は、夜、湿った季候や寒さ、朝起きたときなどに悪化します。
これは、漆器を考えると理解しやすくなります。
漆は空気中の水分と結合して硬化する性質があり、風がなく、70~85%の湿度の高い条件下で早く乾きます。
ですから、じっとしていたり、湿気が多い環境下だと体が固まってしまうのです。
ルストックスが効く関節炎では、関節が固まらないように動き続けます。
動き始めは痛くても動き続けると楽になるのです。
《マインド》
このような性質から「内的にも落ち着きがない」人になってしまいます。
忙しくしていることで安心感が出てきます。
どこか違う場所に行きたいと思ったりします。
家の中では精神状態が悪化するため、戸外を歩くことで精神的苦痛が軽減されます。
感情を抑えて、硬直しています。
考えが固定され、疑い深く、迷信深い面を持っています。
インドのサンカラン先生はルストックスを
「幼い子どもをかかえ、暴力を振るう酒飲みの夫がいる女性」
と表現しています。
「彼女はいつ暴力を振るうかわからない夫に絶えず警戒していて、神経質になり緊張している。夫に依存していて、夫の死を恐れているかもしれない。そのために不安が募る一方である。」
特に夜に不安が強くなります。
荒野をさまよう夢をみたりします。
夢の中でもじっとしていることができないのです。
ルストックスを必要とする人はミルクが大好きです。
ミルクを飲んで、ホッと癒やされるのでしょうか。
ルストックスというレメディは、
うるしかぶれや、漆が固まる様子から、原材料が身体へ与える影響が想像しやすく、
内面に不安が生じることまでも理解することができます。
「漆(うるし)の木って、こんな気持ちなんだ」
と腑に落ちるレメディだと思います。
固まっちゃうよぉ———と言ってるの、聞こえましたか?